レクサプロ備忘録 2021/10/20「動きをする日」

もう完全に冬の気配に支配されている。

冬のパジャマがないことに気がついて、買いに行くことにした。

短い靴下ではなく長いのを引き出しから引っ張り上げてみると、穴がいくつも空いているのに気がついた。

なので靴下も買い、ついでに肌着類も新調することにした。

寒くなってなにが嫌なのかと聞かれると、原付で浴びる風が肌に突き刺さってくることがまっさきに思い浮かぶ。

嵩張らない大きめのジャケットを羽織って風から身を守るのが毎年恒例の防御法だが、今回は少し舐めていて出発する前に家に置いきてしまった。

三宮に着くと寒さでめまいがして脳が吹き飛びそうだった。

さらについでに、お気に入りのバンズが靴底もソールもボロボロになってもう使用不可能になっていたので、新しい靴も買うことにした。

また今度でいいや、を何回も繰り返した結果、靴を買い換えるだけなのに数ヶ月も無駄にしてしまった。大きい値段の買い物は決定するまでの足取りが重くなる。

同じようなデザインの靴がたくさんあった。前に買ったものよりも落ち着いた柄のものを選んだ。

靴底がすり減っていないだけで前に進む力が数倍増していた。

ここまできたらもう勢いなので、しばらく訪れていなかった行きつけのレコード屋に寄ってみた。

ありがたいことに顔を覚えてくれていて、毎回たくさんオススメしてもらえて嬉しくなる。

ノイズっぽいものが聴きたくていろいろ試し聴きさせてもらったが、ゴアトランスの安い12インチが何枚か入荷しており、また最後に試し聴きしたイラン産の陽気な四つ打ちがとてもよったので、家でダンスできるようなレコードを5枚買うことにした。

当分はこれで身体を動かして、冬の寒さに耐えることができる。

神戸の音楽イベントにあまり行ったことがないという話もしたら、近場にあるイベントスペースも教えてくれた。レフトフィールドなことをやっている人にはたまらない空間らしい。

勇気が出たら行ってみることにする。

動きを繰り返した結果、けっこうな荷物となった。

買いたかったものが手に入ったのでフワフワとして嬉しい。

さらにさらについでに髪を切ることにした。

人に会う予定が多く、またあまりにも目に入るのが鬱陶しくて、コミュニケーションのがんばりと引き換えにお金を支払い切断をしてもらった。

お金を払っているのに疲れるという点では、おばけ屋敷と似たようなものだと思った。

ただズボラなぼくでも本当にいい感じになるように切ってもらえるため、卒業するまでは美容院を変更する気持ちが一切ない。同じ「院」の文字を有する身分として、有効な関係を築いてきたい。

高速移動しながら髪を切ったことを報告した。

身の回りの変化に当てられてか、帰宅してすぐに部屋の大掃除を始めた。

掃除は苦手なのにも関わらずやり始めたらとまらないタイプで、4時間かけてこれまで後回しにしていた部分を念入りに整頓した。必要か必要でない書類なのかを見分けることに一番体力を持っていかれた。こういった状況で間違えて捨ててしまうのをやりがちなので、数日後に後悔しないよう目を食いしばって文面を確認しつつ、青いゴミ袋へどんどん放り投げていった。

そうこうして棚を整理していると、昔撮って置いといた証明写真の残りが何枚も見つかった。

いま使っているスマホケースは背面が透明なので、証明写真を切り取って自分の顔をしまい込んでみた。

スマホを裏返してみると、時期はそれぞれ違う、5人分の自分の顔がじっとこちらを見つめてくる。

過去の自分に内省を促されているみたいで鼓動が速くなった。

いつか心療内科の類にはお世話になると思ってはいたものの、実際に今の状況になっていることを過去の自分は許してくれるだろうか。