向き合い
研究に対する向き合いが必要な時期で、なにも書けないままであった。
昨日で中間発表が終わり、年内でやるべき研究がひと段落を終えた。
そのため本日をオフとし、特にやる気も起こらないゆるやかな時間の流れを感じていたものの、考えを言葉にする向き合いの時間を作るべきだと感じた。
鍋を食べて、白菜が脳に到達しているタイミングではないと、このような大仕事を成すことはできない。冬に万が一のことがあった時、暖炉の薪にできるような文章を残す。
精神科では「持続性抑うつ障害」という診断を受けた。
持続性抑うつ障害は、うつ病(大うつ病性障害)の抑うつエピソードほどではない、うつ病に比べて軽い抑うつ症状が慢性的に2年以上持続する病気です。
抑うつ症状が持続的に継続しているらしい。
ただ、そんな大層な病名が自分につくとは考えてもおらず、毎日がなんとなくしんどく感じているのは全人類同じなんじゃないか?と疑いを拭えなかった。
A.抑うつ気分がほとんど1日中存在し、それのない日夜もある日のほうが多く、少なくとも2年続いている
B.抑うつの間、以下のうち2つ以上が存在する
食欲減退または増加
不眠または過眠
気力の減退または疲労感
自尊心の低下
集中力低下または決断困難
絶望感
C.この症状の2年の期間中、一度に2か月を超える期間、基準AとBの症状がなかったことはない
フラットな気持ちで文字を読み込んだ。
診断基準では。「自尊心の低下」「気力の減退または疲労感」「不眠または仮眠」が過去の自分の体験ととてもよく当てハマっていた。
不眠または過眠の症状が始まったのはなにも大学生後半からではなく、記憶にある中では中学3年生の受験期からであったと覚えている。なにか強いストレスを感じると、思ってもいない時間寝過ぎてしまうことが度々あった。しかしそれは単なる甘えで、怠惰なだけであるとしか考えられなかった。自尊心の低下は高校時代にずっと感じていたことであったが、これは思春期特有の揺らぎであると思えた。
とにかく、インターネットで症状について述べられた記事を探したものの、アフィリエイト目的の信憑性の低いサイトが散見され、なにを信頼すればいいのかまったくわからなかった。
そんな時、一冊の書籍が刊行されていることを発見した。
こういうメンタルブックはスピリチュアルなのではないか?と敬遠していた節があったが、とにかく本であればまとまった情報が得られるであろうと半信半疑で購入した。
結論から言うと、大当たりであった。
過去の自分の経験や、これまでのイベントで浮かび上がってきた心象風景が具体的な文字となって的確に解説されていた。
ヤブ医者にでもあたったのか、とでも思っていた診断結果は、みるみるうちに確信へと変わっていった。
自分は甘えているだけだと感じていたはずが、程度はあるにせよどうもズレている部分があったらしい。
読み進めていくにつれ、自分が過去のものとして記憶の奥底に隠しておいた事柄をザクザクと掘り起こされて、自分が病気であるという事実と照らし合わせざるを得なくなる。
怖くなって何度も本を閉じた。こんな都合のいいことがあっていいわけがない。
ここまで説き伏せられても、自分がうつ病の一種だなんて到底信じられない気持ちになる。
うつ病というのは、ベッドで何日も起き上がれず、ただただなにをするのもおっくうである状態であると勝手に認識していたからだ。
どう考えてもおかしい。自分は毎日それとなく健康で暮らせているし、インドアな生活ではあるにせよちゃんと大学にも通えている。
そんな疑問も、本に掲載されている一般的な「うつ病」との違いという節でしっかりと解決させられてしまった。おもしろいくらいにちゃんと当てはまる。
どうも本格的に認めなくてはいけないらしい。ハタから見ると(当事者から見ても)この持続性抑うつ障害という病気はどうにもある種の"甘え"のようにしか思えないが、甘えを許すことで治療が始まるらしい。やっていくしかないことがまた増えた。
とにかくこの本は恐ろしいほどよかった。本を読んで感動することなんて小学生ぶりだった。
一時はレクサプロの断薬も考えたが、もう少し付き合っていくことになりそうだった。
冬になると調子が狂うので、止めるにしても春を迎えてからで検討したい。
新しいことに対する気持ちも、臆することなく迎え入れる身体になりたい。
健全な精神は健全な身体に宿り、それは健全な生活を迎え入れる乗り物になる。
人間讃歌のゴスペルが脳内で流れ、波打ち際の海鳴りが生暖かく溶ける。
でもやっぱり甘えなんじゃないか?
助けてください